「日帰り手術」といっても、「簡単」な手術というわけではありません。ごく普通の白内障から非常に進行した白内障や他の疾患を併発した白内障など、個人個人で目の状況は異なり、経験と技術を要する手術です。当院では1989年(平成元年)より白内障の日帰り手術を行っております。当初より独断に陥らないよう2名の医師で手術を行っており、院長とエキスパートの術者が執刀し最後まで責任をもって対応いたします。
手術の時間は10分程度で、精神的、肉体的な負担も少なく済みます。麻酔も局所麻酔のみで痛みもほとんどなく、出血もほとんどありません。
当院では院長自らが丁寧に術前説明致します。白内障とは、手術の方法、合併症などのリスクなど、細かく説明させて頂きます。また、スタッフから手術前の数日間の過ごし方や術後の生活、使う薬、費用などについて説明をさせて頂きます。その内容にご納得頂けましたら手術の日取りを決めさせて頂くという段取りとなっております。
簡単に言うと、
できます。体に特別な理由、心臓、血圧や腎臓など内科的に入院が望ましい状況さえなければ、日帰りで十分できるのです。以前は角膜の縁を10ミリ近く切って手術を行っていましたが、今では3ミリ以下の傷から全て行われるようになりました。そのおかげで、術後の安静が殆ど必要なくなってしまいました。ご自分で歩いたり、ご家庭の中で動くことには問題がありませんので、日帰り手術が増えてきました。
患者さんには簡単で優しい手術になりました。
手術器械と手術手技と眼内レンズの進歩発達のおかげです。ただ、一つ分かって頂きたいことがあります。それは、患者さんによって難易度が違うということです。誰でもが同じように簡単なわけではありません。このことが意外に知られていません。上に書きましたように、白内障にはいろいろな形があり、程度も様々です。それ故、患者さんによっては、スルスルッと終えることのできる場合と、持てる器具と手技を総動員しても難渋する場合があるのです。これはその方その方で違いますので、術前によく主治医から話を聞く必要があります。誰でも同じだと思ったら大間違いです。
上の項目でお話ししましたように、白内障の程度と難易度は患者さんによって違うのです。現在では概ね10分位ですが、条件が良ければ6、7分、難渋すると15分位かかります。大切なことは、いかに安全運転で手術を遂行できるかということですので、難しい方に時間がかかるのは当たり前です。どんな方も同じ時間でやることは可能ですが、短時間にやろうとすれば無理がかかり、危険が増すことは自明であると思います。
私が日帰り白内障手術を始めた30年前は、角膜の縁を10mm位切開していましたので、手術の後で動いても大丈夫なように、通常の倍、10針ほど縫っていましたので、えらく時間がかかり、順調にいっても40分位かかっていました。それが手術の改良で10分位になったのですから、大変な進歩だと思いませんか。
手術ですから、麻酔が必要です。よほどの理由がない限り、白内障手術は昔から局所麻酔で行われてきました。
私が日帰り白内障手術を始めた頃は、病院でやっていたと同様に、局所麻酔の注射を目の周りに何本も打って、目に深い麻酔をかけて行っていました。しかし、手術の改良により、深い麻酔をかける必要がなくなり、次第に軽い麻酔になってきました。
現在では、麻酔の注射は行っていません。麻酔の目薬を手術前に目の表面にかけて行います。そのため、切られたり触られたりといった感覚はありません。ただ、手術の最中に目に水圧が掛かって張る感じとか、眼内レンズを入れる際に押される感じなどの、大きな感覚は分かります。全身麻酔ではありませんので、何も感じないというわけにはいかないのです。
当然、周囲の状況はよく分かっている中で行われますので、何かおかしなことがあったら、言葉で伝えて頂くことができるのです。
制限はイロイロとあります。
手術の傷が小さくなったので、日帰り手術がより安全になった訳ですが、これは体を動かすことに対して制限が少なくなったということです。従って、手術後の生活の制限は、入院しての手術と同様であるとお考え下さい。
何よりも傷は小さいのですが、弱いので、術後約1週間は傷に負担をかけないように、清潔に保つように、注意が必要です。そこで、洗顔、入浴、先髪の制限があります。
また、運動は大まかに約1ヶ月間、控えて頂きたいのです。もちろん、運動の種類と体への負荷によって差がありますので、術前によく主治医と相談する必要があります。
傷が弱いこと、不潔にしないこと、この2点を十分に認識して頂きたいと思います。うるさく制限するのは、あくまでご自身のためである点をご理解ください。冒険しても何の得もありません。